ブログ

仮想通貨に関する会計・税務-会計処理のキャッチアップ

はじめにまとめ

本記事は、別途作成している仮想通貨に関する会計・税務の現状把握の記事を元に、会計面で具体的な処理を検討するページです。税務面はまた今度。
2019年7月15日時点では、以下の基準等が公表されています。

公表日設定主体タイトル
2018/3/14企業会計基準委員会(ASBJ)実務対応報告第38号 資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い

上表に基づき、現状決まっているルールを以下にまとめています。

参照基準等参照条項項目処理
第38号5~8期末評価活発な市場あり:時価(差額は当期損益)
活発な市場なし:取得原価(処分価額<簿価の場合切放法で簿価切下げ)
注)活発な市場:取引所or販売所で継続的に価格情報が提供されている
第38号13売却時点仮想通貨の売買の合意が成立した時点
第38号14~15仮想通貨交換業者の処理仮想通貨の預かり処理:預託者との預託の合意に基づいて仮想通貨を預かった時の時価で資産として認識。同時に預託者への返済義務を同額負債認識

預かり仮想通貨の期末評価:交換業者保有の仮想通貨と区分した上で上記5~8項「期末評価」に従い評価。なお返済義務の負債も資産と同額にする(損益評価なし)
第38号16~17開示PL表示:売却取引は純額表示

注記事項:
1.保有する仮想通貨のBS価額合計
2.預かっている仮想通貨のBS価額合計
3.保有する仮想通貨の活発な市場が存在する仮想通貨と活発な市場が存在しない仮想通貨の別に、仮想通貨の種類ごとの保有数量及び貸借対照表価額(貸借対照表価額が僅少な仮想通貨については、集約記載できる)

期末における仮想通貨の評価に関する会計処理

参照基準等参照条項処理
第38号5~8活発な市場あり:時価(差額は当期損益)
活発な市場なし:取得原価(処分価額<簿価の場合切放法で簿価切下げ)
注)活発な市場:取引所or販売所で継続的に価格情報が提供されている

期末時価評価の理由

仮想通貨交換業者、仮想通貨利用者が保有する仮想通貨について、期末時点でどのように評価するかについて規定されています。第38号の以下のような理由で活発な市場の有無により会計処理を区分しています。

活発な市場がある場合、仮想通貨保有者は以下の理由で仮想通貨を保有していると考えられます。

  • 時価の変動により売却利益を得る
  • 決済手段として利用する
  • 仮想通貨販売所を営むために仮想通貨を一時的に保有する

つまり、仮想通貨保有者は仮想通貨の価格変動リスクを負って利益を得る目的を持っていると考えられます。

これは、従来の会計基準ですでに期末時価評価することが規定されている、売買目的有価証券やトレーディング目的で保有する棚卸資産などと同様の目的と言えます。

そこで、第38号では、時価変動により利益を得る目的で保有している仮想通貨について、期末直評価を求めています。

活発な市場がない場合

活発な市場がなければ、時価を把握すること自体が困難ですし、また売買・換金も難しいことが考えられるため、取得原価により評価することになります。

なお、このケースにおいては棚卸資産の評価に関する会計基準、金融商品会計基準及び減損会計基準等で行われている処理に合わせ、収益性が低下した場合には回収可能価額まで簿価を減額することが求められています。

ところで「活発な市場」とは?

「活発な市場」ってなんでしょう?第38号には以下のように規定されています。

8.第5項における活発な市場が存在する場合とは、仮想通貨交換業者又は仮想通貨利用者の保有する仮想通貨について、継続的に価格情報が提供される程度に仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所において十分な数量及び頻度で取引が行われている場合をいうものとする。

(第38号第8項)

実は「活発な市場」という用語は、これまでの会計基準では明確に定義されていませんでした。しかし国際会計基準ではその判断基準が示されていることから、これを参考に上記のように規定されています。

しかしこれもあくまで判断基準で、個別の実態に応じて活発な市場かどうかについては判断が求められます。例えば以下のような場合には市場は活発でないと判断されます。

  • 価格情報が取引所・販売所ごとに著しく異なる
  • 売り手と買い手の希望する価格差が著しく大きい

仮想通貨の売却損益の認識時点

参照基準等参照条項処理
第38号13仮想通貨の売買の合意が成立した時点

こちらも従来の会計基準との平仄を合わせる趣旨の規定となっています。すなわち「金融商品会計に関する実務指針」において、以下の考え方が整理されており、今回の仮想通貨においてはこのうち「約定日基準」が採用されています。

  • 約定日基準:売買の合意が行われた時に売却損益の認識を行う
  • 受渡日基準:引渡時に売却損益の認識を行う

しかし、「売買の合意が行われた時」って、仮想通貨の取引記録でいうといつでしょうか?この辺り議論が進みそうです。

仮想通貨交換業者が預託者から預かった仮想通貨の会計処理

参照基準等参照条項処理
第38号14~15仮想通貨の預かり処理:預託者との預託の合意に基づいて仮想通貨を預かった時の時価で資産として認識。同時に預託者への返済義務を同額負債認識

預かり仮想通貨の期末評価:交換業者保有の仮想通貨と区分した上で上記5~8項「期末評価」に従い評価。なお返済義務の負債も資産と同額にする(損益評価なし)

話としては簡単で、預かった仮想通貨は合意時点で時価により資産計上するとともに、同額を返済義務として負債計上します。また期末においては先ほどの議論と同様、活発な市場の有無により場合分けして評価し、負債は当該評価に合わせるということです。結果としてPLインパクトはありません。

一方、そもそも預かり仮想通貨を資産・負債計上すべきか否かという議論もあります。預かり有価証券などは資産・負債計上せず、注記を行うルールになっています。預かり仮想通貨と預かり有価証券を対比するとわかりやすいです。

預かり仮想通貨預かり有価証券
資産に個別性はあるか?No(現金同様、色がない)→BS計上と注記対象を明確に区分できないYes(管理番号が振られる)→BS計上と注記対象を明確に区分できる
処分できるか?Yes(現状、破産時に預託者による取戻権なし)→処分して現金(資産)化できるNo→処分して資産化できない
結論資産・負債を認識する(BS計上)資産・負債を認識しない(注記)

開示

参照基準等参照条項処理
第38号16~17PL表示:売却取引は純額表示

注記事項:
1.保有する仮想通貨のBS価額合計
2.預かっている仮想通貨のBS価額合計
3.保有する仮想通貨の活発な市場が存在する仮想通貨と活発な市場が存在しない仮想通貨の別に、仮想通貨の種類ごとの保有数量及び貸借対照表価額(貸借対照表価額が僅少な仮想通貨については、集約記載できる)

PL表示に関して、上記「期末における仮想通貨の評価に関する会計処理」で見てきたように、仮想通貨の保有目的は基本的に時価変動による差益の獲得目的であるとされています。そのため、当該差益部分すなわち売却価額-売却原価の純額をPLに表示することが実態に即していると考えられています。

注記に関しては、リスクの大きい仮想通貨について、投資者目線の注記が意図されています。具体的には、以下のような意図が考えられます。

  • 仮想通貨を預かり分(リスクなし)と保有分(リスクあり)に分けて分析できる
  • リスクのある保有分の仮想通貨について、仮想通貨の種類ごとに数量*単価=BS価額を分析できる

関連記事

  1. 仮想通貨に関する会計・税務-税務処理のキャッチアップ
  2. 仮想通貨に関する会計・税務-現状把握
  3. freeeマジカチイベントに参加してきました!

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP